第32回研究大会(兵庫大会)によせて

日本教育技術学会 会長  向山 洋一

 

 道徳は教育の根本ともいうべき性格を持っています。 

 今から25年前。1993年12月、全国各地から先生方が集まった研修会の場で、私は「道徳」についての主張を述べました。要旨は次のようでした。

 

 1 道徳の道とは、人間の生き方としての原理・原則をいう。

 2 道徳の徳とは、徳目の徳、具体化して、人間として身につい

   いることをいう。

 3 人間の生き方の原理・原則として、何を取り上げたらいいか。

 4 そのことをどのように身につけていくべきか。

 5 一つの授業で並列する価値項目もあれば、敵対する価値項目もあってよい。

 6 教科の単元のように、二時間や三時間にわたってもいい。

 

 私が示した枠組みを「具体化するとどうなるか」を示したのが、1996年1月、野口芳宏元校長のもとで開かれた「心の教育フェスティバル」でした。

 私は4年生の授業を公開しました。私のねらいは、「道徳の大枠を授業するとどうなるのか」を示すことでした。人間の生き方の原理・原則とは何か。それをくわしく述べると一冊の本になるのですが、結論から言うと次の5つでした。

 

 1 相手のことを真剣に考えよう

 2 弱いものを大切にしよう

 3 人のためになることをしよう

 4 まず自分のできることをしよう

 5 人の生き方に学ぼう

 

 この5つのことは、くり返しくり返し学ぶべきです。小さい頃から、教育されるべきです。

 いかなる国であっても、このような「人間としての生き方」は、教えられて育ちます。

 学校教育の中でも、当然教えられます。

 

 平成30年4月から、小学校で「特別の教科 道徳」が全面実施されました。

 新しい学習指導要領では、具体的にどのような道徳の授業や評価が求められているのか。

 そのために、どのような教育技術が必要なのかということを授業実践、子供の事実を通して提案していきます。

 今回の本学会が、今後の日本の教育の転機の一つとなり、具体的な授業実践を全国に発信する場としていきたいと思います。是非、先生方の現場での実践をご発表下さい。

会長 向山 洋一